パレードへようこそ
イギリス文化の先生に勧められたのでNetflixで見た。リトル・ダンサーと背景時代が同じで、ちょうどそこらへんを扱ったので最初からわかりやすかった。ただ、リトル・ダンサーと違って実話に基づく
原題はプライド
ロンドンで暮らすゲイの若者が、警察や政府、マスコミから虐げられてる炭鉱労働者にシンパシーを感じて、LGSMという団体を作って炭鉱ストライキを支援する、っていうのが大筋で
サッチャー政権、炭鉱ストライキ、ゲイ、レズビアン、エイズがポイントで、家族との関係や女性の権利も要素にある
炭鉱労働者っていうマスキュリニティに取り憑かれた存在(悪口)と、そのマスキュリニティを揺るがす存在であるゲイたちの出会い、普通に考えていい考えじゃないし、実際サポートしてる炭鉱町を訪れた際の、村の男たちの態度や反応で相当具合が悪くなった
LGSMは最大の支援団体だったのに、ホモの金はいらねえって態度はなんなんだよって、たぶん見た人はみんな思ったと思う。炭鉱って結局斜陽産業だったわけだって今ならわかるから、支援してくれるならなんでも大事にしようって思えない直情さはさすがに馬鹿だろって思いましたね
その炭鉱町でも歓迎してくれる人たちはいっぱいいて、どんどん増えていくんだけど、ゲイたちと打ち解けた女性たちがすごい。柔軟性がすごいよね。保守的なウェールズの炭鉱町で暮らして来た女性たちの箍が外れていくスピードが凄まじいし激しい。イメルダ・スタウントンがピンク色のディルド持って、ゲイ雑誌見ながら爆笑するしな
ゲイと女性の友情って、洋画とかでよく見かける形だと思うんだけど、これってイデオロギーなのかな、わからん
最後で、ストは終わって、時代の流れにみんなは逆らえなかった…という虚しさが残るオチかと思いきや、そこから今日にまで続く歴史が作られてるんだよね
ロンドンで行われたゲイパレードに、たくさんの炭鉱労働者組合が来て、今度はおれたちがゲイを支援するぞって、炭鉱夫とゲイたちが行進する
これ実話なのすげえよなって本当に思った
夏にロンドン行った時に感じた寛容さって、いろんな人たちが育てて、絶えないようにしてくれた結果なんだなって、感激した
まあ、だから映画の中で描かれた80年代の不寛容に動揺したけどね
そのあと、ゲイの権利についての法案がついに可決された時、炭鉱労働者組合が全会一致で支持してくれた、って字幕に書いてあって、ここが本当のクライマックスなのかもしれない
情けは人の為ならずってこのことじゃないか
アンドリュー・スコットがずっと不幸そうな顔してるのがめちゃくちゃよかった…
ビル・ナイが演じる炭鉱側のおじさんか実はゲイだったって最後らへんにわかるんだけど、おじさんがパレードに参加した時、インタビュアに
「初めてゲイたちに会った時、奇妙な感じしなかった?」という偏見まみれの質問をされるんだけど、もしかしてここでカミングアウトしちゃう?と思ったら
「どうして奇妙なことがあるんだ?」
って返事したのがすごいかっこよくて、この映画は80年代の出来事を描いてるけど、最近(2014年)作られたのを感じさせるセリフだった。ナウい